“普通の物件”って何?

コラム

“普通ですよ”という魔法の言葉

不動産の仕事に携わっていると、よく聞く言葉があります。

「このくらいが普通ですね。」

価格の話でも、広さの話でも、立地の話でも、
とにかく“普通”という言葉は万能です。

言われた側も、なんとなく安心する。

「普通なら、まあ大丈夫か。」

でも少しだけ立ち止まってみると、不思議なことに気づきます。

その“普通”って、いったい誰の基準なのでしょうか。


普通の価格って、本当に普通?

例えば、

「このエリアの相場は◯◯万円なので、これは普通です。」

という説明。

確かに数字としては平均かもしれません。

でも、平均は“真ん中”なだけで、
あなたにとって適正とは限らない。

将来転勤の可能性がある人と、
この街にずっと住むつもりの人では、
同じ価格でも意味がまったく違います。

それでも“相場だから普通”という言葉で、
思考は止まりがちです。

不動産に限らず、
「相場」という言葉は思考停止を生む魔法です。


普通の広さ、普通の立地

「70㎡あれば普通です。」
「駅徒歩10分なら普通です。」

この“普通”もよく登場します。

在宅勤務が中心の人にとっては、
駅距離よりも日当たりや静かさのほうが重要かもしれません。

逆に毎日通勤する人にとっては、
徒歩10分は“遠い”可能性もあります。

普通という言葉は、
多数派の条件をなぞっているだけです。

でもあなたの人生は、多数派そのものでしょうか。


実は「普通」は営業トークに一番向いている

これは少しだけ現場の話です。

不動産の世界では、“普通”という言葉は便利です。

否定しにくい。
反論しづらい。
なんとなく納得しやすい。

だからこそ、よく使われます。

もちろん悪意があるわけではありません。

ただ、人は“安心材料”を求める生き物です。

そして“普通”は、いちばん簡単な安心材料です。


普通は、あなたを守るけれど、縛る

普通を選ぶことは、悪いことではありません。

むしろ、多くの場合は安全です。

ただ一つ問題があるとすれば、

「普通だから」という理由で決めた瞬間、
自分で考えることをやめてしまうことです。

その物件が好きかどうか。
その価格に納得しているかどうか。
その暮らしを本当に望んでいるかどうか。

そこが抜け落ちたまま、
“普通だから”で決めてしまう。

これが一番もったいない。


“普通の物件”なんて存在しない

不動産の現場にいると、はっきりわかります。

同じ物件でも、
人が変われば評価は真逆になります。

つまり、

“普通の物件”というものは存在しない。

あるのは、

「多数派にとって無難な物件」

だけです。


視点をひとつ、ずらしてみる

次に「普通ですね」と言われたら、
ほんの少しだけ問い返してみてください。

「それは、誰にとっての普通ですか?」

その一言で、会話の質が変わります。

そして何より、
あなた自身の視点が一段深くなります。

2shiki Noteは、
そんな“ひとつ視点をずらす”ための場所でありたいと思っています。

まあ、普通が悪いわけではないんですけどね。

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